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“何を達成したいのか”を問い続ける社会的インパクト評価

2018年1月に休眠預金等活用法が施行され、10年以上取引がない預金を「休眠預金」として扱うことになりました。毎年700億円規模で発生する休眠預金を、社会的課題の解決の為に活用する制度です。この制度においては、課題解決の取り組みの成果を可視化するために、「社会的インパクト評価」の活用が予定されているそうです。そこで今回は、休眠預金の流れもあって今後広がりを見せていくと思われる「社会的インパクト評価」について、概略18年1月に休眠預金等活用法が施行され、10年以上取引がない預金を「休眠預金」として扱うことになりました。毎年700億円規模で発生する休眠預金を、社会的課題の解決の為に活用する制度です。この制度においては、課題解決の取り組みの成果を可視化するために、「社会的インパクト評価」の活用が予定されているそうです。そこで今回は、休眠預金の流れもあって今後広がりを見せていくと思われる「社会的インパクト評価」について、概略をまとめておきたいと思います。

1.「社会的インパクト」とは何か?

「社会的インパクト」という言葉については、唯一の定義があるわけではありません。「インパクト」という言葉から想像するものは人によって異なり、様々な解釈があるものと思いますが、ここでは内閣府における定義を紹介しておきます。

社会的インパクトとは、「短期、長期の変化を含め、当該事業や活動の結果として生じた社会的、環境的なアウトカム(変化、便益、学び、その他効果)」のことを意味します。

もう少しわかりやすい言葉に置き変えると、「私たちは一体何を達成しようとしているのだろうか」という問いに対する答えが、自分たちが生み出そうとしている「社会的インパクト」と言えると思います。どのような組織であれ、何かしらの社会的インパクトを生み出していると言って良いのではないでしょうか。この問いに対する答えを明確にし、そこに向けて自分たちが今何をするべきなのかを、未来からの発想法(バックキャスティング)で考えることが大切です。またこれは、昨今多くの企業が関心を寄せているSDGs経営の第一歩とも言えます。

2.「社会的インパクト」を「評価する」とはどういうことか?

社会的インパクト評価とは、「社会的インパクトを定量的・定性的に把握し、当該事業や活動について価値判断を加えること」です。(内閣府による定義)

こちらも少し言い換えると、「事業や活動が生み出した社会的・環境的な変化や効果」(社会的インパクト)を「見える化する」取り組み、と言うことができます。この「見える化」をする際に気を付けたいポイントとして、事業や活動の直接的な結果としての「アウトプット」だけを見るのではなく、「アウトカム」を整理していくことが重要になってくるという点があります。

例えば、SDGsを学ぶセミナーを開催したとします。今月は2回開催したとか、100人が参加したといった直接的な結果が生じることになると思いますが、この数字はセミナーというサービスの規模を捉えているものであり、社会的インパクトではありません。

社会的インパクトを把握するためには、そのセミナーを何のために開催しているのか、という目的につながっていく「変化」や「成果」を捉える必要があります。SDGsセミナーの参加者がどのくらい内容を理解したのか、社会的課題の解決に向かうような実践がどのくらい増えたのか、行動がどのように変化したのか、といった事を知る必要があるのです。それがセミナー開催という取り組みの社会的価値を「可視化」することであり、その価値の根拠を「検証」可能なものにしてくれます。「評価」とは、監査のような受動的なものではなく、「価値を引き出すもの」と言えます。

3. なぜ社会的インパクト評価が必要とされるのか

近年社会的インパクト評価が注目されている2つの背景を紹介します。
資金提供者の要求の変化
助成財団や投資家といった資金の出し手が、より「成果」を求めるようになってきた、という国際的な潮流の変化があります。また、企業の社会性を企業価値として捉え直して発信しようとする流れもあります。

あらゆる主体を公益活動に巻き込む必要性の高まり
人口減少・高齢化による財政制約の高まりや、社会的課題の多様化・複雑化が進む中、行政に全てを頼ることは難しくなってきました。そこで、営利・非営利を問わず、課題解決に取り組む意欲のある、あらゆる主体が公益活動の担い手となることが期待されています。民間の知識や技術を社会的課題の解決に活かすためにも、事業が生み出す価値を可視化する必要性がでてきたということです。

4. 評価を行うことで何が変わるのか

社会的インパクト評価を行う目的は大きく2つ考えられます。
利害関係者に対する説明責任(アカウンタビリティ)を果たす
生み出した社会的価値や根拠が明確になるため、資源提供者とのコミュニケーションが円滑化されるというものです。以下のような効果が期待できます。
・組織が生み出した社会的価値のアピールが可能になる。
・人材、資金など、更なる資源を呼び込むことにつながる。
・資金投入者に対し、投入した資金の有効性に関する説明根拠になる。

学びや改善に活用する
評価を行う過程で活動内容や目標を見直す機会が生じ、組織の成長につながるというものです。以下のような効果が期待できます。
・組織管理や運営の向上につながる。
・事業や活動内容の改善につながる。
・資金提供の意思決定の際に、目指している事への実現可能性の判断材料になる。

5. 評価を実践する7つのステップ

社会的インパクト評価の評価デザインは、一般的に次の7つのステップで実施されます。

出典:GSG国内諮問委員会 社会的インパクト評価ワーキング・グループ 『社会的インパクト評価ツールセット』を基に、ノットで作成

評価の際に重要な役割を果たすロジックモデル
Step2における「ロジックモデル」とは、事業が成果を上げるために必要な要素を体系的に図示化したものです。資源(インプット)/活動(アクティビティ)/直接の結果(アウトプット)/成果(初期・中間・最終アウトカム=インパクト)の4つの構成要素から成り立っており、活動がもたらす結果や成果を「言語化」し、論理的に因果関係をつなぐことで「可視化」することができます。

このロジックモデルの作成は、社会的インパクト評価においては重要な役割を果たすステップと言えます。ロジックモデルは「仮説」を立てるものなので、後から作成するのではなく最初に作成することが大切です。事業や活動がどのような道筋で目的を達成していくのか、論理的に矛盾がないように仮説を立て、日々の活動の中で検証を行っていく必要があります。

出典:GSG国内諮問委員会 社会的インパクト評価ワーキング・グループ 『社会的インパクト評価ツールセット』より

6. SDGsを経営に統合する「社会的インパクト・マネジメント」という考え方

社会的インパクト・マネジメントとは、事業の社会的・環境的な価値(社会的インパクト)を見える化し、その情報に基づいた事業改善や意思決定を行う経営のあり方のことです。

社会的インパクト評価は、その結果を次の活動へと活かしてこそ、評価を行う意味があると言えます。何を達成したいのかを問い続け、活動する中で効果の検証も行い、そしてまた次の「何を達成したいのか」の「問い」と向き合う。このサイクルを回していくことが大切になってきます。

今後当サイトにおいても、社会的インパクト評価/インパクト・マネジメントについて、より具体的な情報を発信していきたいと考えています。

参考文献:GSG国内諮問委員会 社会的インパクト評価ワーキング・グループ 『社会的インパクト評価ツールセット』、社会的インパクト評価検討ワーキング・グループ「社会的インパクト評価の推進に向けて」(2016)、社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ「社会的インパクト・マネジメント・ガイドラインVer.1」

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